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悪徳運転手の手口をテレビで見た

 先週一週間、毎日夜8時半からのテレビ番組にくぎづけだった。うそかまことか、この番組は視聴率30%を誇る番組である。その名も「ストリシャ・ラ・ノティツィア」、直訳すると「ニュースがのたうつ」の意味だ。人々に取り付いた呪いを「お祓い」して大もうけをしていた占い師のうそをテレビで告発し、逮捕にまで発展させた実績もある。

 今回は、ローマのタクシー運転手の巧妙な手口を連日にわたって紹介する、というもの。まず番組の依頼を受けた日本人が、観光客になりすましてローマの空港からタクシーに乗る。行き先はロ-マ市内にあるホテル。通常なら35ユーロ(日本円で4千円相当)で行ける距離である。タクシーの運転手は日本人がビデオカメラで隠し撮りしていることも知らず、日本人に70ユーロを請求する。驚いた(ふりをした)日本人は、「普通は35ユーロぐらいじゃないの?」とたどたどしいイタリア語と英語まじりで応じる。運転手、すかさず反論。「空港から市街までは往復料金をもらうことになってるんだ。知らなかった?」録画をみながら番組の司会者は、「嘘ばっかり。だまされちゃいけませんよ、日本のみなさん」とコメント。別の日本人がやはり、空港からタクシーに乗る。40ユーロを請求された日本人は50ユ-ロを渡す。すると運転手は、受け取ったはずの50ユ-ロ札をさっと10ユ-ロ札にすりかえ、「10ユ-ロじゃなくて50ユ-ロだよ、50ユ-ロ」という。手品のような手際のよさである。ここでも司会者は、「視聴者のみなさん見ました?なんともあざやかな手さばきです!」ほかにも、まったく同じ行程なのに95ユ-ロ請求する運転手、100ユ-ロ受取って50ユ-ロ受取ったふりをする運転手、などなど。番組は、これら運転手たちの行為を紹介したあと、タクシ-協会の代表のところへインタビュ-しにいく。正規の料金を確認するためと、たしかに違法行為であることをマイクの前で明言させるためである。「ただの暴露番組じゃないんだからな。やるときゃやるんだからな」という意気込みがみえるようだ。

 そうこうするうち、タクシ-運転手の不正行為をいっせいに検挙する動きがでてきた。この番組の成果であることはまちがいない。だがしかし、こんな悪徳運転手が(ごまんと)存在することぐらい、誰だって知っていたはずだ。それがずっと野放しになっていたのに、電波に乗ったからといって検挙しだすというのはいったいどういうことだろうか。

 イタリアを旅するのは、「だまされるかもしれない」「おつりをごまかされるかもしれない」という思いとのたたかいである。それでもイタリア旅行は楽しい。いつだったか、ロ-マのレストランで食事をしたとき、イタリア語が話せる、というだけで、その日の夕飯がただになったことがある。旅先で、いや実生活においてさえ損をするのも得をするのも、イタリア人にいわせればすべては「運」だそうである。そうかも知れない。

小池 弘美
2001年xx月