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| 日本のアニメ in イタリア 平日午後2時前後、総人口5700万人のうち350万人のイタリア人が、あるテレビ番組を見ているという。日中のこの時間帯である。すごい人気だといっていい。何の番組かというと「ドラゴンボール」である。鳥山明原作の人気アニメだ。 2月中旬、ヴェネチアのカーニバルの季節には、子供たちが扮装に趣向をこらす。今年はピカチュウに扮装した子供たちが目立った。アニメ「ポケモン」は放送いらい1年半が経つが、子供たちの間では驚異的な流行現象となった。 日本製アニメがイタリアの若者にどう浸透して影響を与えたか、社会学者なら一冊のぶあつい本が書けてしまえるだろう。まず1970年代中頃、「マジンガーZ」に代表されるようなロボットもの、「アルプスの少女ハイジ」を頂点とする名作ものが放映され、子供たちの圧倒的な支持を受けた。以降、日本製アニメが矢つぎばやに放映され、アニメといえば日本ものといえるまでに受け入れられてきた。「ルパン3世」、「キャンディキャンディ」、「ドラえもん」。だれでも知っている人気アニメである。 テレビをつけると、古い日本アニメにでくわすことがあってとても懐かしい。野球などとても国民的スポーツとはいえないこの国で、一体誰が見ているのか不思議な、「巨人の星」。主人公の星飛雄馬はトミー、伴忠太はチャーリー、ライバル花形満はアレクサンダーという名前に翻訳されていた。なぜ登場人物の名前を洋風に変える必要があったのか首をかしげたくなる。カリメロやトッポジージョはイタリア産のキャラクターだが、私たちはそれらをイタリア語のままで知っているのに。一方、「ルパン3世」の石川五右衛門はゲーモン、銭形警部はゼニガタ、とほぼもとの名前のままに訳されている。しかし、五右衛門は伝説的大泥棒の子孫で、銭形警部は銭形平次をモチーフにしていることなど、日本人にはすんなり受け入れられても、イタリア人にはわからない。アニメに限ったことではないが、翻訳の難しさはここにあると思う。 イタリアにおける日本アニメ全体を見渡すと、日本で40年かかって進歩し、洗練されてきたアニメの歴史がここでは無視され、古いのも新しいのもいっしょくたに放映されている事実がある。さらに、放映されているアニメのほとんどは週一回ではなくて連日(しかもポケモンにいたっては1時間弱にわたって)見ることができる。まさに氾濫である。 日本アニメが輸入され始めた頃に、それらに夢中になった少年少女は、いまや30代前半。アニメ関係の本やキャラクターグッズを集める人たち、アニメにやたらと詳しい人たちというのも確かにいて、彼らを呼び表す言葉が存在する。その名も「OTAKU」(オタク)である。
小池 弘美
2001年xx月 |